平成27年度宇都宮美術館館外プロジェクト(※1)では,「地域産業とデザイン」を大きなテーマに掲げ,市民のみなさん,宇都宮大学,中川染工場,デザイナーと協働し,デザインの力によって,宇都宮の優れたものづくり,注染(※2)の技術を受け継ぐ「宮染め」の再生に挑戦しました。この度,『「本物の出会い 栃木」デスティネーションキャンペーン』にあわせ,このプロジェクトで公募によって創出された「大谷石採掘の痕跡」や「大谷石の石屋根」など,宇都宮らしいパターンを用いた手拭が商品化され,地域振興の取組として,本市の誇れる地域資源「宮の注染を拓く 手拭」として販売されることになりました。
1 商品取扱場所
・宇都宮美術館ミュージアムショップ
【電話 028(666)8891】
2 商品デザイン
プロジェクトで作り出された5種類のデザインが手拭になりました(写真左から)
①「大谷石採掘の痕跡」
宇都宮に産する大谷石の採掘場壁面に見られる手掘り・機械掘りの「規則的な掘りあとがモチーフ
②「大谷石の石屋根」
宇都宮の大谷石建造物の特徴のひとつ「石の男瓦(おがわら)と女瓦(めがわら)を組み合わせた屋根」がモチーフ
③「宮ドット」
点と点を重ねて配置することで,宇都宮城に由来する宇都宮市の市章「亀甲(きっこう)」を白で浮かび上がらせています。
④「きぶなのぼり」
人々の健康を願う宇都宮の郷土玩具「黄鮒(きぶな)」をモチーフとし,それが勢いよく川を上る様子を表しています。
⑤「田川の水面のきらめき」
宇都宮の染めを育んだ「田川」の水面を「田」の字を秘める図案,現代テクノロジーも意識させる表現で示しています。
※1 宇都宮美術館館外プロジェクト「地域産業とデザイン ~宮の注染を拓く~」とは?
江戸時代から続く本市伝統産業の「宮染め」を素材に,市民,大学,染工場との「共創」により,デザインの力を用いて「宇都宮を象徴する普遍的なパターン」の創出に取組みました。GKグラフィックスの木村雅彦氏の協力を得て,デザインや宮染めの歴史を学ぶ講座の他,本市のまち歩きワークショップを通じて自分たちのまちの特色を認識し,パターンデザインを市民から公募し,公開審査会を通じて選出されたデザインで反物を製作し,宇都宮大学峰ケ丘講堂で館外企画展示を行いました。(2016年度グッドデザイン賞受賞)
※2 注染とは?
生地に型紙を載せ,防染糊で文様づけし,これに染料を注ぐ型染めの一種ですが,反物を何度か折り返しながら糊を置いて染色するために,旧来の浸し染めとは異なり,一度に多くの色で生地の表裏をしっかりと染め抜けるという特色があります。文様の味わいはこっくりとしており,退色しにくいので,手ぬぐいや浴衣地で多用されてきました。
大正・昭和戦前期,宇都宮は注染の一大拠点でしたが,繊維産業と服飾文化の劇的な変化のなかで,今,染色業を営む工場は3軒のみとなりました。