陽咸二展 混ざりあうカタチ
2023年2月19日[日]~ 2023年4月16日[日]
本展は、大正から昭和初期にかけて活躍した彫刻家陽咸二(1898-1935)の全貌を明らかにするはじめての大回顧展になります。
陽は小学校卒業後、牙彫や篆刻の職人として修業したのち、島田墨仙に日本画を学び、ほどなく彫刻家小倉右一郎の門下生になったのを機に、本格的に彫刻の道に進みました。帝展や東台彫塑会への出品を重ねながら、徐々に頭角をあらわしていきましたが、とくに、1927年(昭和2)年から参加した彫刻団体「構造社」では主要メンバーとして活動し、「彫刻の社会化」を目指した同社の理念を象徴するような作品を精力的に発表しました。
かれの芸術の特徴の一つは、ひとりの作家の手によるものとは思えないほどの多様な作風です。絵画、版画、工芸、表紙絵など手がけた分野も幅広く、様式も具象や抽象、簡素なタッチから細密描写にいたるまで多様で、モチーフやテーマも和洋を問わず人物、風景、説話などさまざまです。
いまひとつの特徴としては、ひとつの作品のなかで異なる要素を並べたり、重ねたりしながら、これまでにない新たなイメージを生み出した点です。たとえば、代表作の《降誕の釈迦》では、釈迦と摩耶夫人を西洋の<聖母子像>のフォーマットを借りて表現し、話題を集めました。
陽は生花、釣魚、麻雀など数多くの趣味に興じましたが、とくに蒐集趣味においては、希代の趣味人三田平凡寺が立ち上げた「我楽他宗」に参加しています。同宗では「横臥山夜歓寺(おうがさんやかんじ)」と名乗り、蒐集対象を「支那趣味一切」とさだめ、社会的地位、性別、国籍など関係なく、さまざまな人々と交歓しました。作品制作あるいは交友関係において陽は、まさに異(他)が入り混じる状況を積極的に生み出し、楽しんでいるかのようです。
本展は5つのキーワードを手掛かりに、陽咸二の独特な芸術世界を逍遥していきます。
開館時間 | 午前9時30分 ~ 午後5時 (入館は午後4時30分まで) | ||||||
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休館日 | 毎週月曜日(祝休日は開館)、3月22日[水] | ||||||
観覧料 |
※( )は20名以上の団体料金 |
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主催 | 宇都宮美術館 | ||||||
助成 | ![]() |
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企画協力 | 株式会社キュレイターズ |
関連イヴェント | 講演会「陽咸二の「いき」の構造」 2023年3月5日[日]午後2時~午後4時 |
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ワークショップ「はりこ で ようかんじ」 3月18日[土]午後2時~午後4時 3月19日[日]午前11時~午後1時 | 午後2時~午後4時 ※事前申込制 ![]() にしこはりこ[張り子作家]
埼玉県生まれ。武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒。 ゆれる技法を用いた作品を中心に、ユーモラスに表現した張り子作品を制作している。 |
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担当学芸員による見どころガイド 2023年3月11日[土]、3月25日[土]、4月8日[土] 午後2時~ |

1928年
宇都宮美術館

1928年
個人蔵

1928年
個人蔵

1929年
宇都宮美術館

1929年
個人蔵

1924-30年頃
宇都宮美術館
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